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エリオット波動原理

エリオット波動原理(Elliott Wave Principle)

エリオット波動原理(Elliott Wave Principle)
 1934年頃R.N Elliottにより提唱された。彼はダウ平均株価の値動きを研究し「波の法則」を発見し初期のエリオット理論を展開した。
 エリオットは以下のように記述している。「万物に法則がある。もし法則がなければ、言うまでもなく混沌が生じ、混沌のある所には意義はない。」「我々はある特定現象を引き起こす原因を知らないとしても、観察を通して、我々はこの現象が再現することを予測できる。何千年前の人々はただ太陽が一定の時間になったら昇ることだけを予測していたが、しかしその因果関係は後になって分かったのである。」
 「太古より、周期的な規則性こそが万物の法則であった。人間はこの法則にしたがって起こるさまざまな現象を学ぶことにより、徐々に知識と力を獲得してきた。」

音波、電磁波、電波などの波動に共通することは、周期的な運動を無限に繰り返す力があることである。この周期的運動を構成するのは二つの力であり、そのうちの一方は上昇、他方は下降を導く力である。
 この法則は反復、循環するという性質を持っている。経済現象に置き換えると、景気サイクルと株式相場の強気・弱気サイクルも、この法則を当てはめることができる。

しかし、初期のエリオット理論にはFibonacci級数などの数字で裏づけされたものはなく時間の概念も重要視されていなかった。彼の発見したものは「市場における値動きはTrendを構成する5つの波とCorectionを構成する3つの波からできている」ということだけであった。

現代のエリオット理論の確立にはA.Jフロスト(AJ Frost)とロバート.R.プロクター(Robert Rougelot Prechter)に依るところが大きい。彼らは波の特徴を解明し、Fibonacci級数を波の振幅に当てはめて計算することで、この理論を体系付けた。

エリオット波動の理論はパターン・比率・時間の3つの側面から理解する必要がある。
エリオット波動原理の基本概念となる波動の期間は以下の9degree(等級)に分類される。 

等級  波動周期  推進波  調整波 
Grand Supercycle  数世紀に渡る超長期の周期  [I] [II] [III] [IV] [V]  [A] [B] [C] 
Supercycle  40〜70年周期  (I) (II) (III) (IV) (V)  (A) (B) (C) 
Cycle  1〜10年周期  I II III IV V  A B C 
Primary  数ヶ月〜2年周期  [1] [2] [3] [4] [5]  [A] [B] [C] 
Intermediate  数週間〜数ヶ月周期  (1) (2) (3) (4) (5)  (A) (B) (C) 
Minor  数週間以下の周期  1 2 3 4 5  A B C 
Minute  数日周期  [i] [ii] [iii] [iv] [v]  [a] [b] [c] 
Minuette  数時間周期  (i) (ii) (iii) (iv) (v)  (a) (b) (c) 
Subminuette  数分周期  i ii iii iv v  a b c 


  1. エリオット波動の基本概念は以下の通りである。
    長期間の波は、トレンドを構成する5つの波(trend)と、その後の調整を構成する3つの波(correction)の計8波動で構成される。
    前者「推進波5波動」は3つの衝撃波(第1波、第3波、第5波)と2波の修正波(第2波、第4波)から成る。
    後者「調整3波動」は2波の推進波(A波、C波)と1波の修正波(B波)から成る。




    推進波はより下位の等級(短期)の「推進5波動」から成り立っている。
    修正波はより下位の等級(短期)の「調整波動」から成り立っている。
    更に、下位の等級はより下位の等級の波動から成り立っている、所謂フラクタル構造になっている。
    下図の一番上の8波動が最上位の等級であり、その第1波を構成する下位の等級の5波動で出来ている。同様に第2波は下位の等級の3波動で出来ている。更にその下の等級で分解すると最上位の等級の第1波は21波動で、第2波は13波動で構成されている。


    上昇局面を例に各波の特徴は以下の通りである。


    第1波 :下落トレンドの終了を示す指標がでて、市場心理に変化が出始める。売りポジションの解消に伴い上昇するが、ファンダメンタルズ的にはネガティブである。横這いのや底堅い値動きから新規の買いも入り始める。相場の転換点は目先筋の打診買いで概ね一時的な急騰になることが多く、時間的には長続きしないことが多い。

    第2波 :最初の修正波であり、下落相場の延長と見られることも多い段階でファンダメンタルズも以前ネガティブなニュースを含む。下げは、第1波の61.8%(フィボナッチ数列 に因む)程度までの修整で収まることが多い。61.8%を超える調整は下落相場が続いているとも見れるのでこの水準を分水嶺に警戒して望む必要がある。

    第3波 :ファンダメンタルズが好転し、アナリストの評価も見直される段階で強気相場が徐々に支持され始める。5つの波動の中で出来高が多く、この第3波が最も長く伸びる。また、この段階でエクステンション が起こることもある。この波動による上昇幅は、 第2波での下落幅の1.382〜1.618倍(フィボナッチ数列 に因む)程度、エクステンションが起こると2.618から4.236倍になることがある。

    第4波 :典型的な修正波であり、第3波の38.2%(フィボナッチ数列 に因む)から61.8%程度の修整で収まることが多い。もしも、それ以上の調整があれば、第2波の延長とも考えられる。
    第2波の調整幅が小さかった場合は第4波が大きくなる。第2波の形状が単純の時は第4波が複雑な波になることが多い。この現象をAlternation(オルタネーション)という。具体的には第2波がジグザグの時は、第4波はトライアングルになるなど一つの相場において同じパターンを繰り返さない法則性を見出すことができる。

    第5波 :ファンダメンタルズは概ねポジティブで市場参加者も強気である。しかし、第3波よりも出来高、値幅ともに劣る。またモメンタム指標がダイバージェンス を示すことも増え、相場の転換を警告するようになる。高値の更新に失敗すると弱気相場に転換する可能性が高くなる。
    市場参加者の楽観傾向によりエクステンションすることも多い。この波は第4波の下落幅に対して1.618倍に収まることが多い。しかし、エクステンションにより第3波全体の上昇幅の1.618倍以上になることもある。

    a波 :この段階では以前、ポジティブな見方が大勢を占め、積極的な市場参加者も多い。価格下落時に出来高が増えることもある。 悪材料が再認識され、利食い売りや新規売りポジションも 入り始める。第5波の上昇過程で市場参加者の多くが買いポジションに傾いている為、売り需要を受け止める買い手が少ない為に、短期間の内に大きく下げることになる。

    b波 :下落相場の調整で戻るが、弱く、出来高も少ない。買い持ちを解消する最後の機会とも、新規戻り売りエントリーの機会なる。チャートパターンでは三尊の右山、ダブルトップの右頭となる。
    つまり第5波の高値を超えることはないのが通常である。
    a波の下落の反動で値ごろ感から買いが入ることもあり、この買いが次のc波の下落を大きくする売り圧力となる。

    c波 :下落相場を決定付ける。三尊の右肩となる。a波の安値、第4波の安値など節目を下抜くと加速度的に、出来高を伴い大きく下降する。市場参加者の大半が上昇トレンドの終了を認識している為買いが入りにくく、トレンドフォロワーは新規の売り建てを入れ始める。
    下げ幅は、第1波から第5波の上昇幅の50〜61.8%になることが多い。

    エクステンションは、推進波の1つが延長され更に5波動を形成することである。第3波で起こる可能性が高いとされる。エクステンションが更に延長することもある。
    第3波がエクステンションしている。第3波の中に推進5波動ができている。   



    フィボナッチ数列  
F0 F1 F2 F3 F4 F5 F6 F7 F8 F9 F10 F11 F12 F13 F14 F15 F16 F17 F18 F19 F20
0 1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89 144 233 377 610 987 1597 2584 4181 6765
上の表の数の配列の規則性の一つに、「隣り合う2つの数を加えると、次の数に等しくなる
」というのがある。左から順に0+1=1、1+1=2、1+2=3、2+3=5、3+5=8・・・となっている。
上の表の左右に隣り合う数の比率を黄金比 という。

自然界に存在する諸現象の多くに当てはまる数字で、例えば巻貝の渦巻きの縮小する比率であるとか、木の枝が分裂する数がフィボナッチ数列の法則性に従っているとかが有名である。また、フィボナッチ数列に存在する黄金比率 を応用したパルテノン神殿やミロのヴィーナスなど人間が見て美しいと感じるのもこの数列の神秘性であると言えます。
この一見不規則なように見える自然の現象が、実はこの数列に支配されていることから、市場の不規則性を説明することに役立つのではないかと言うのがエリオット波動原理の出発点である。

エリオット波動で押し・戻りを測定すると、フィボナッチ数列に関係した数字で止まることが多く見られる。主なものに、0.382, 0.5, 0.618, 1.0, 1.382, 1.5, 1.618, 2.618 などがある。


下のチャートは5563日本電工の5分足チャートである。
[@]から[D]の上昇5波と[a]から[c]の下降3波、あわせて8波で1週期になる。
この周期の長さは2から3日間なので等級表によるとMinuteということになる。

さらに、この[B]の中に5波があり、等級は1等級下のMinuetteである。

5563日本電工




StockCharts.comのエリオット波動分析 byAnthony V. Caldaro

宮田レポート 三菱UFJエクイティリサーチ部 チーフ・テクニカルアナリスト宮田直彦